2017年2月、日本ハムのキャンプ地であるアメリカのアリゾナで行われたインタビューです。
2017年12月、MLBのYoutube公式チャンネルにその動画が上がり、とても面白い内容だったので動画を見れない方のために書き起こしを行いました。
文字では伝えきれないところもありますので、時間のある方はぜひ動画をご覧ください。終始なごやかで、笑顔の多いインタビューでした。
大谷翔平選手アメリカ、メジャーリーグインタビュー
──いきなり、とても重要な質問からいきます。名字のローマ字は正式に”otani”なのか”ohtani”なのかどっちですか?ファイターズではhが付いてますが、アメリカのメディアではよくotaniと書かれています。
大谷「ローマ字!?正式に?わかんない…(小声)自分が書くときはhを入れてます。」
──分かりました。これからはhを使いますね(笑)WBCの第一回大会は松坂投手、第二回大会はダルビッシュ投手が活躍しました。何歳くらいで、どんな気持ちで見ていましたか?
大谷「小学校6年とか、中学生ぐらいのときでした。テレビで観ていて、イチローさんが打ったときは凄く嬉しかったし、普通の野球少年のように観ていました。」
──メディアでは”日本のベーブ・ルース”と呼ばれていますが、それを聞いてどんな気持ちになりましたか?
大谷「ベーブ・ルースというと、神話の中の人みたいな、ほんとに居たのかな?というようなほど神様みたいな人ですし、自分が比べられるなんておこがましいとは思いますが、そう言っていただけるのは嬉しく思います」
──幼いころ、野球を観ていたときは誰に憧れていましたか?
大谷「イチローさんは同じ左バッターでしたし、好きでした。」
──子供のころはピッチャーとバッター、どちらに憧れていましたか?
大谷「どっちということはないですね。ピッチャーだったら松坂さん、ダルビッシュさん。バッターだったらイチローさん、松井さん。どっちもカッコよかったし好きでしたので、どちらのほうがということはないですね。」
──メジャーリーグに来るというとき、二刀流をメジャーで実現するということは、どれだけ重要ですか?
大谷「最初に行きたいと言ったときは球団の方にはピッチャーとしての評価しかされていなかったので…今、現時点で自分が選手としてどれだけ評価されているのか分からないので、なんとも言えないところですね。(言及を避ける)」
──高校を卒業して、アメリカか日本で揺れていた時に誘われていたメジャーリーグの球団はどこですか?
大谷「ドジャース、レンジャース、ジャイアンツ…他に何球団かきていましたが、その3球団が特に熱心に見に来てくれていました。」
──もし、今年のオフに移籍するとしたらその3チームには何か縁を感じていますか?(アドバンテージはあるか)
大谷「あの時とはもう状況が違いますし、球団も全部が全部、あの時と同じかと言わるとそうではないので、そこは白紙になってくると思います」
──それでは4年前、なぜ日本ハムを選んだのか教えてください
大谷「もともと、打って投げて両方やるっていう判断は僕にもなくて、ピッチャーとしてやるんだろうなと思っていた。でもファイターズはバッターとしてもどうですか?と言ってくれた。とても熱心に誘ってくれて、凄く考えたけど入団を決めました。」
──もしDHの無いナ・リーグに行くとしたら、守れる場所はありますか?
大谷「僕がですか?(笑)プロでは外野、主にライトを守っていましたけど、守れるかと言われたら分からないですし、ピッチングもバッティングも通用するかは分からないので、ディフェンスにおいてもメジャーでどこまで出来るかは正直わからないです。」
──今メジャーの球団を決める時、現時点で何が一番ポイントになりますか?二刀流が出来るか、西海岸、東海岸といった位置などの希望はありますか?
大谷「環境もそうですけど、ファイターズに行こうと思ったときのように素晴らしいスタッフの方々、栗山監督を始め交渉の席で”こういう人たちにお世話になりたい””この人達と一緒にやりたい”と思えることが大事だと思っています。二刀流以前に、そこだと思います。」
──メジャーリーグでは本格的な二刀流は近代いませんでした。メジャーの歴史を変えるかもしれない挑戦について、想像できますか?
大谷「現時点でも本当に(二刀流が)できているのか分からないですけど、周りの人が大谷選手凄いよねって言ってくれると嬉しいですし、そういった反応を想像するとワクワクはします。」
──今のメジャーリーグで好きな選手、注目している選手はいますか?
大谷「日本人の選手、ダルビッシュさんやイチローさんもそうですが、ハーパー選手(ブライス・ハーパー、ナショナルズ所属)はバッティングが好きだし参考にもさせていただいてます。」
──ダルビッシュは元日本ハムファイターズということで、交流はあると思いますが今はどのような関係性ですか?
大谷「一緒にトレーニングさせていただいてますし、たまに連絡も取っています。背番号も同じですし、僕からみたら凄くかわいがってもらってるというか、お世話になっています。」
──ダルビッシュ投手とは同じチームのほうが良いですか?違うチームのほうが良いですか?
大谷「一緒にできれば凄く勉強になると思うし、対戦できるとしても勉強になると思うので、どちらになっても良いと思っています」
──色んな日本のバッターと対戦してきていると思いますが、今の日本プロ野球で”打者大谷翔平”より良いバッターは何人ぐらい居ますか?
大谷「ええ!?(笑)何人ぐらいですかね…とてつもなく居るんじゃないですかね?ほんとに良いバッターはたくさん居ますから」
──ピッチャーは?
大谷「同じです(笑)僕はまだまだだと思っています」
──アメリカに来るということに関して、グラウンド内や私生活などで不安な点はありますか?
大谷「不安しかないです。違う環境に行くということ、ファイターズに入ったときもそうですし、自分がどこまで通用するのかは分からないので、まして国が違うので不安なことばかりだと思います。」
──英語力はどうですか?
大谷「英語力もそうですね。自分が思っていることが話せないと不安ですし、通訳の人はいるかもしれませんけど、自分の口で言うのが一番だと思います。どれくらい語弊があるかは不安です。」
通訳「英語のレベルでいうとどれくらいか、聞きたいみたいです」
大谷「レベル!?レベルで言うと…幼稚園児くらい(笑)」
──キャンプでアメリカに来るのは2回目ですが、アメリカで好きなところは見つかりましたか?
大谷「アメリカ…と言っても僕はアリゾナとハワイしか来たことないです(笑)うーん…ステーキが大きい(笑)」
──ちなみに、どこのステーキですか?
大谷「もう、そこら辺です(笑)」
──映画とかテレビで見たところでも良いので、アメリカの都市で行ってみたいところはありますか?
大谷「ロッキー?(両手を挙げて)こうやってるところ。どこでしたっけ?」
通訳「銅像のあるところ?」
大谷「そうそう!」
通訳「(インタビュアーに尋ねる)」
──それはフィラデルフィアですね!その町にも野球チームがありますよ(フィラデルフィア・フィリーズ)
大谷「野球はまあ…観光はいいです(笑)所属したとしたら、野球をやるだけです。」
──一応フィリーズの偉い人に、その情報は伝えておきますね
大谷「やめてください(笑)」
──メジャーリーグで応援しているチーム、よく試合を観るチームはありますか?
大谷「観るのに関しては日本では日本人が所属しているチームが放送されているので、球場でも放送されていますし、よく観ていますね」
──噂で聞きましたが、ご両親は二人とも運動神経が良いと聞きました。名前と何をしていたのか教えてもらえませんか?
大谷「名前!?名前は…恥ずかしくないですか?(笑)」
──でしたら、名前は大丈夫です(笑)
大谷「父は野球選手でした。社会人野球をしていて、母は社会人でバドミントンをしていました。」
──どっちの方が良いアスリートだと思いますか?
大谷「母ですね(即答)」
──そう言うと思いました!
大谷「母にはバドミントンで一度も勝ったことがないです。身長も大きいですし、社会人までバドミントンをしていたというのはことは上手なんじゃないかなと思います」
──東京ドームを突き抜けた打球はまだ空を飛んでいると思いますが、あの瞬間はどうでしたか?アメリカでもとても話題になっていましたよ
大谷「(笑)あんまり僕は引っ張って飛ばすことがないんですけど、あれは凄く感触が良かったですね」
──アメリカでもよく取り上げられて、Youtubeの視聴回数が凄いことになったりして、話題になっていましたよ
大谷「凄い嬉しいですし、光栄です」
──大谷選手から見て、日本の野球史の中で伝説的な選手は誰ですか?
大谷「イチローさんですね(即答)」
──イチロー選手がなぜこれだけ長く活躍できているか秘訣は分かりますか
大谷「秘訣ですか?うーん…分かったら苦労しないと思いますけど(笑)本当に素晴らしい人ですし、姿勢であったり物事の捉え方であったり、人間として素晴らしい人だと思います。」
──メジャーリーグに来るとします。キャリアを終えた時、何を達成していれば”成功した”と言えると思いますか?
大谷「うーん…それは最後、自分が引退しますって言った時にどれだけファンの人が拍手を送ってくれるかどうかだと思います。いくらタイトルを受賞するかではなく、そこだと思っています」
──今このインタビューを見ているファンに向けて、大谷翔平がどんな人物なのか、どこを見てほしいかメッセージをお願いします
大谷「難しいですね…受け取り方次第なのかと思いますし、僕のプレーを見て勇気が出たとか、自分も頑張ってみようとか思っていただけるのが一番嬉しいことですが、それは僕が強要できることではないので、僕は一生懸命プレーをして、その姿を見てもらいたいです。」