野球における「野手の守備力」はどのように測られているか知っていますか?
日本では古くから「エラーの数」つまり「守備率」に注目しがちで、ゴールデングラブを受賞した選手の中には「確かにエラーは少ないんだけど、動いてないだけでは?」という選手も多くいました。
しかし近年は「セイバーメトリクス」が日本にも普及し少しずつ変わってきました。
そんなセイバーメトリクスの始祖、ビル・ジェームズが提唱したのが「レンジファクター(RF)」です。
レンジファクターはどのような指標なのか
レンジファクターは一人の選手が9イニングで取ったアウトの数を数値化したものです。
算出方法は
アウト寄与率 = (刺殺 + 補殺) ÷ 守備イニング数 × 9
となり、「アウトを取った数」なので当然守備範囲が広い選手が有利となり、エラーをしてアウトを取ることができなければ数値が悪くなりますので、守備率よりは信頼のおける指標と言えます。
レンジファクターの注意点としては
- 違うポジションの選手で比較はできない
- 投手の奪三振など、チームによって数字の制度に多少のバラつきが出る
ことがあります。レンジファクターだけではなく、UZRなども併用して選手の正当な評価に役立てたいですね。
実際に選手のレンジファクターを見てみよう
●セ・リーグ 年度別レンジファクター1位の遊撃手
年度 選手名 試合 刺殺 補殺 失策 簡易RF 1991 池山隆寛(ヤクルト) 132 270 412 4 5.17 1992 野村謙二郎(広島) 130 252 398 23 5.00 1993 進藤達哉(横浜) 123 183 382 12 4.59 1994 野村謙二郎(広島) 130 231 413 12 4.95 1995 野村謙二郎(広島) 131 213 401 14 4.69 1996 久慈照嘉(阪神) 130 189 434 18 4.79 1997 宮本慎也(ヤクルト) 115 185 356 4 4.70 1998 宮本慎也(ヤクルト) 114 197 357 6 4.86 1999 宮本慎也(ヤクルト) 131 215 409 9 4.76 2000 東出輝裕(広島) 116 217 356 25 4.94 2001 宮本慎也(ヤクルト) 125 198 425 9 4.98 2002 井端弘和(中日) 134 237 387 6 4.66 2003 シーツ(広島) 136 242 412 14 4.81 2004 井端弘和(中日) 138 213 472 4 4.96 2005 宮本慎也(ヤクルト) 135 211 447 3 4.87 2006 井端弘和(中日) 146 242 475 4 4.91 2007 梵英心(広島) 135 231 439 13 4.96 2008 鳥谷敬(阪神) 144 263 476 15 5.13 2009 坂本勇人 (巨人) 141 244 437 19 4.83 引用:Number コラム
日本ではレンジファクターが集計、公表され始めたのが2010年からなので、「簡易レンジファクター」を使用しています。
簡易RF=(刺殺+補殺)÷試合数
といった算出方法となっております。
この表を見る限りではエラーが多い=守備が下手、貢献できていないというわけではないということが良くわかりますね。
守備範囲が広ければその分エラーは多くなり、アウトを取る数も増えるということです。
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