まぁ、選手にとっては良いことなので大歓迎ですがね。
西武ライオンズ 菊池雄星投手が「二段モーション」を取られ、話題となっている。
先日、2017年8月24日に行われたソフトバンクホークス戦では立ち上がり、初球に「二段モーション」の宣告を受け、
初球がボールの判定に。その後も制球が定まらずフォアボール与えて炎上してしまった。
この判定に対して、今季途中から何度か宣告を受けている西武ライオンズ側は強く抗議している。
目次
二段モーションとは、ボークの一種である
そもそも「二段モーション」とは「ボーク」の一種で、簡単に言えば「反則行為」とされている。
ピッチャーがボークを犯した際に課せられるペナルティは走者が居れば走者の進塁が認められ、走者が居なければ「ボール」として1球カウントされる。
よくある例としては、
- セットポジションで完全に静止していない状況から牽制をしたり、投球をした
- バッターがバットを構えていないのに、投球をした
などが挙げられる。
二段モーションは何がいけないのか?
「二段」という呼称から、足を下げたあとにもう一度上げる行為が反則なのだと思われている人も多いと思うが、厳密には異なる。
ボークの規則には元々「投球動作を完全に静止させてはいけない」というものがある。
つまり、足を上下させる動作の際に「全身が静止する」状態が認められ、二段モーションによる「反則行為」が宣告されているのだ。
日本のプロ野球では2005年、野球の国際化を目指すという方針が打ち出され、二段モーションの規制が強化された。
この際にも「二段モーション」という名前だけが先行し、上半身を含めた「投球動作」は止めていないにもかかわらず、「足を上下させている」だけで反則行為とみなされるなど、日本のルールは厳しすぎるという声が挙がっていた。(藤川球児投手、三浦大輔投手など)
実際に「二段モーション」としてフォーム改造を余儀なくされた選手
元近鉄バファローズ、楽天イーグルス、マリナーズの岩隈久志投手はその代表例だろう。
日本でルールが厳格化された頃、「今のままでは二段モーションにあたる」と宣告された投球フォームがこちら。
次にフォーム改造をした後の投球フォームがこちら
「あんまり変わらない」という印象を受けないだろうか? 菊池雄星投手とくらべても、同じようなフォームに見える。
この動画を見れば冒頭の菊池雄星投手のモーションは、今になって反則行為だと言われる筋合いはないのではないか。
菊池雄星投手が二段モーションであれば上記の岩隈投手の改造後フォームも二段モーションだし、日本野球界で大量の反則フォーム該当者が生まれることになる。
菊池雄星投手はなぜ、今になって「二段モーション」を宣告され始めたのか
「なぜ、今さらなんだ」と抗議する西武ライオンズに対して、審判団は「キャンプやシーズン序盤とフォームが明らかに異なる」と説明しており、下記のような動画も出ている。
改めて説明するが、「二段モーション」は足を上下させることが反則なのではない。
「投球動作の途中で全身が完全に静止する」ことが反則なのだ。
最新の投球動作を観ても、投球動作の流れで上半身は動き続けているし、足の静止についても完全静止と取られるほどではないように感じる。
メジャーリーグで菊池雄星投手が「二段モーション」として反則行為を宣告させることは無いだろう。
「国際化のため」だったルールの厳格化だが、ここまでいけば本末転倒である。
二段モーション騒動のまとめ
・二段モーションとは、投球動作を完全に静止させることで宣告される「反則行為」である
・上半身を含め、投球動作に完全な静止がなければ反則ではない
そもそも「二段モーション」という名前を付けた人間がダメ。
メジャーリーグに準じるのであれば「ストップモーション」だし、そのほうが規則に近い呼称だ。
審判団もプロであるなら「二段」なんて名前に惑わされないで、「投球動作が静止しているか」を厳格に観てほしいものだ。